ラベルにはPre1962とありますが、実際には1940-50年代に蒸溜された原酒をスペインのシェリー生産者バルデスピノ家がソレラシステムで熟成させていた長期熟成ラムです。毎年ごく僅かのボトルが日本に届く、革命前のキューバを伝える非常に貴重な逸品。
バルデスピノの正規輸入元であるJISの田中社長が1990年代後半にボデガ(醸造所)を訪れた際に振る舞われてその魅力にとりつかれるも、当主のミゲル・バルデスピノは「これはとても珍しいもので僕の宝物、このボデガを訪れた人だけにしか飲ませないし、売り物ではない」と買い付けを断ります。
ところが跡継ぎ息子と愛娘を相次いで亡くしたミゲルは、失意もあったのか1999年にボデガのいっさいをホセ・エステベス社に売却。田中社長は新オーナーにラムの件をお願いし、門外不出のこの酒がようやく日の目を見る事となりました。ミゲル氏が会社を手放さなかったら世に出る事は無かったであろう、曰く付きの逸品です。